性犯罪が厳罰化!法改正で何が変わる?
これから改正される刑法では、性犯罪の厳罰化が予定されています。
さらに、従来は処罰対象ではなかったような行為も処罰される可能性が出てきました。
そこで、ここでは刑法の改正によって何が変わるのか、改正の概要を紹介します。
目次
刑法の改正によって性犯罪に対する処罰は重くなる傾向が
最近の性犯罪傾向や被害の実態に合わせる形で性犯罪に関する規定が改正されます。
これらの改正により、性交同意年齢が引き上げられたり、これまで処罰が難しかった行為が犯罪化されたりといった大きな変化が起きる見込みです。
ある意味、加害者として事件に巻き込まれる可能性も高くなっているといえます。
盗撮や未成年との性行為も厳罰化!?今回の刑法改正で何が変わる?
今回の法改正では、処罰範囲が広がったり、罰則が重くなったりと、性犯罪を全体的に厳罰化する動きが見られます。
不同意性交等罪の新設
従来の強制性交等罪では、脅迫や暴行によって相手を抵抗困難な状態にして性交等を行う行為を処罰対象としていました。
しかし、それでは、社会的な地位を悪用して性行為を強要する行為や、予想外の展開に相手が驚愕しているのに乗じて強引に性的な関係を結ぶ行為などが処罰対象から外れてしまいます。
そのため、「性犯罪の実態に合わないのでは」という意見が出ていました。
そこで、今回の改正では、強制性交等罪の代わりに、不同意性交等罪が規定されることになりました。
不同意性交等罪の特徴は、暴行・脅迫によって無理やり性行為した場合に限らず、相手が「嫌だ」といえない状況を悪用して性行為を行った場合も処罰できるようにしたことです。
上司・部下の関係を利用して行う悪質なセクハラ、相手をだまして行う性行為、相手に「No」と言わせるいとまを与えず行う性行為など、従来の強制性交等罪では処罰できなかった行為も処罰できるようになりました。
こうした処罰対象の見直しに伴い、強制わいせつ罪も不同意わいせつ罪に改正され、処罰できる行為の範囲が広がっています。
性交同意年齢の引き上げ
これまで性交同意年齢は13歳で、13歳未満の子どもとの性行為は、子どもの同意があっても強制性交等罪に問われていました。
しかし、改正後は性交同意年齢が引き上げられ、16歳となる見通しです。
そのため16歳未満の子どもと性行為をした場合にも処罰される可能性が出てきました。
ただし、同年代の青少年同士の恋愛を処罰対象から外すため、13歳以上16歳未満の子どもに関しては、相手との年齢差が5歳以上ある場合に限って処罰対象になります。
撮影罪の新設
これまで各都道府県の迷惑防止条例などで処罰されていた盗撮行為についても、取り締まるための法律ができる予定です。
罰則も従来より重くなります。
性的グルーミング罪の新設
性的な目的で子どもに近づき、手なずける行為をグルーミングといいます。
SNSなどを通して子どもに近づいて信頼関係を築き、性的な写真を送らせたり、性的な接触や関係を求めたりする事例が問題になっています。
しかし、グルーミングの段階では性的な被害が起きていないため、これまでグルーミングそのものを処罰する行為はありませんでした。
今回の刑法改正では、子どもをだましたり、お金を渡したりして面会を迫る行為を処罰できるようになりました。
なお、同じ条文により、16歳未満の子どもの性的な写真や動画を撮る行為も規制される予定です。
時効の延長
性犯罪に関しては、時効の延長も議論されていました。
被害にあってからすぐ訴えるのが難しいという性犯罪の性質を踏まえ、今回の改正では強制性交罪などについては時効が延長される見込みです。
性犯罪で逮捕される可能性は今後上がる?
今回の改正を受け、今まで処罰されなかった行為が処罰対象になったり、罰則が重くなったりといった変化が起きることが予想されます。
従来に比べても、性犯罪で逮捕されるリスクは上がっているといえるでしょう。
逮捕された場合に予測されるリスク
逮捕される場合に予測されるリスクとしては次のようなものがあげられます。
長期間身体を拘束される
逮捕され、そのまま勾留された場合、最大23日間身体を拘束される可能性があります。
その間は自宅に帰ることも、職場や学校に行くこともできません。
仕事や学校を辞めさせられる可能性がある
長期間欠勤・欠席した場合、逮捕されたことがバレて、職場や学校から不利益な扱いを受けるリスクがあります。
有罪が確定した場合は、退職や退学に追い込まれる可能性も否定できません。
実名報道される可能性がある
特に学校の教師、医師、士業など社会的地位がある人の場合は実名報道されるリスクがあります。
今はインターネット上に情報が残り続けるので、逮捕されたニュースがしばらくネット上に残ってしまう可能性もあります。
起訴されて刑罰を受ける可能性がある
捜査後、検察官が「起訴するべき」と判断した場合は起訴され、刑事裁判にかけられます。
刑事裁判で有罪となった場合は、懲役や罰金といった刑罰を受けることになり、また前科がつきます。
執行猶予がついた場合も前科があることには変わりないので、場合によっては社会的に不利益を受ける可能性もあります、
もし性犯罪で逮捕されそうになった場合にやるべきこと
性犯罪で逮捕されそうになった場合、早めに弁護士に連絡し、そのときどきの状況にあった弁護活動をしてもらうことが必要です。
もしトラブルに巻き込まれた場合は早めにご相談いただければと思います。