性犯罪の加害者として逮捕されたらどうなる?初動対応の重要性
不同意わいせつ、不同意性交等の性犯罪の加害者として逮捕された場合は、長期間、身体拘束を受けてしまい、その間、職場や学校を無断欠勤・無断欠席することになり、解雇や退学につながることもあります。
また、実名報道による社会的な影響も無視できません。
性犯罪の加害者として逮捕されたことにより様々な影響を受けてしまうことを防ぐためには、初動対応が重要です。
目次
性犯罪とは
性犯罪とは、刑法第22章に規定されている、わいせつ、不同意性交等及び重婚の罪のことですが、不同意わいせつ、不同意性交等が代表例です。
例えば、次のような状況の下で、被害者の同意なく行われるわいせつ行為や性交のことです。
- ・暴行、脅迫により抵抗できなくする
- ・心身の障害に乗じる
- ・アルコールで酔わせる
- ・睡眠状態に陥らせる
- ・抵抗する間もなく押さえつける
- ・恐怖、驚愕でフリーズさせる
- ・精神的な虐待を行う
- ・経済的又は社会的関係上の地位を利用する
最近多いのが、SNSやマッチングアプリなどで知り合った異性といきなり性行為等に及んでしまい、後で、不同意わいせつ、不同意性交等として告訴されてしまうケースです。
例えば、男性は最初からそのつもりで接触したところ、女性はそのつもりはなかったとか、男性がタイプじゃなかったという場合に、男性が思い込みで性行為に及んでしまうと、女性から告訴されてしまうことがあります。
男女ともにアルコールで酔っている状況で性行為をしてしまうこともあり、このようなケースでは、性的行為をした記憶がないにもかかわらず、性犯罪で告訴されてしまうこともあります。
性犯罪の加害者となった場合の刑罰
性犯罪の加害者となった場合は拘禁刑に処せられる可能性があります。
- ・不同意わいせつの場合は、6月以上10年以下の拘禁刑
- ・不同意性交等の場合は、5年以上の有期拘禁刑
が法定刑となっており、罰金刑で済まされることはありません。
有罪判決が下された場合において、執行猶予を付けられるのは、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときとされていますから、不同意性交等として起訴されてしまった場合は、執行猶予も付かない可能性があります。
このように性犯罪で起訴された場合は、実刑になる可能性があるため、不起訴処分を得ることが非常に重要と言えます。
性犯罪でも逮捕されるのか?
性犯罪の被害者が警察に相談し、被害届を出したり、告訴した場合は、警察が捜査を行います。
捜査の結果、加害者の悪質性が高いと判断されれば、裁判所から逮捕状を取った上で、通常逮捕が行われることがあります。
なお、逮捕は、「逃亡のおそれ」と「証拠隠滅のおそれ」がある場合に行われるものですが、加害者が被害者と接触しやすい状況にある場合は、逮捕される可能性が高いと言えます。
逆に、逃亡と証拠隠滅のおそれがない場合は、逮捕は行わず、在宅事件として捜査が進められることもあります。
在宅事件の場合は、警察から呼び出しを受ける度に出頭して取り調べを受ける形になります。
性犯罪で逮捕された後の流れ
性犯罪で逮捕された後の流れは、他の刑事事件と同様になります。
警察は逮捕から48時間以内に検察官に送致します。
送致を受けた検察官は24時間以内に取り調べを行い、勾留の必要性の有無を判断します。
検察官が勾留が必要と判断した場合は、裁判所に勾留請求を行い、勾留状が発せられれば、標準で10日間、最長で20日間、被疑者の身体拘束が続きます。
つまり、いったん逮捕された場合は、最長で23日間にわたり、留置場や拘置所で身体拘束を受けてしまう可能性があります。
性犯罪の容疑者として逮捕、起訴されることの社会的な影響
性犯罪の加害者となって、逮捕、起訴されてしまうと、刑罰を受けること以外にも社会生活を送る上での様々な弊害が生じてしまうことがあります。
身体拘束を受けることによる影響
逮捕された場合は、最長で23日間にわたり、外に出ることができません。
その間は、仕事や学校に行くことができないため、連絡が取れないと、無断欠勤、無断欠席となってしまい、会社の場合は、それが原因で解雇されることもあります。
また、実刑判決を受けた場合は、刑期に相当する期間、社会から隔離されてしまいます。
報道されてしまうリスク
性犯罪の加害者は、ニュースや新聞などで実名で報道されてしまう可能性があります。
特に、ネットのニュースで実名で報道された上、拡散されてしまった場合は、長期間にわたり、ネット上に性犯罪者として名前が残ってしまいます。
そのために、就職や転職で不利になったり、婚姻などでうまくいかなくなることもあります。
また、現在の職場からも、解雇されるリスクもありますし、解雇されなくても、左遷されたり、職場に居づらくなり、退職を余儀なくされてしまうこともあります。
性犯罪の加害者になったら初動対応が重要性
性犯罪の加害者になってしまった場合は、その現実から目を背けるのではなく、初動対応が非常に重要です。
逮捕される前
被害者が被害届を出していたり、告訴する動きを見せている場合は、早期に対応することで、逮捕の回避を狙います。
具体的には、「自首する」「被害者と示談する」といった対応を取ります。
警察が捜査を進めて犯人を特定する前の段階で自首しておくことで、逃亡のおそれがないと判断してもらえる可能性があり、逮捕を回避できることがあります。
さらに、被害者と示談を行い、示談を成立させれば、証拠隠滅のおそれもないとして、警察も逮捕をしない方針を取ることもあります。
逮捕された後
逮捕されたしまった場合は、この段階で、実名での報道がなされてしまう可能性もあります。
この場合でも、不起訴となれば、後日、不起訴となった旨の報道が行われて、実名報道による影響を和らげることもできます。
そのため、逮捕後は、不起訴処分を勝ち取ることを目指すべきです。
検察が不起訴の判断をするためのポイントになるのが、被害者との示談成立の有無です。
被害者との示談を成立させたうえで、被害者から許しを得ていれば、検察も不起訴の判断に傾きやすいと言えます。
また、逮捕後の身体拘束期間を短くするためにも、被害者との示談成立が重要になります。
まとめ 被害者との示談は弁護士にご依頼ください
被害者との示談は、加害者本人が行うべきではありません。
特に、性犯罪の場合は、被害者が加害者との接触を拒否する可能性が高く、加害者本人が交渉しても示談を成立させることは難しいです。
被害者との示談は弁護士に依頼し、代理で行ってもらうことを検討してください。
弁護士ならば、被害者の連絡先を調べることができますし、逮捕・起訴を回避するための示談だけでなく、民事上の損害賠償請求も含めた解決を図ることが可能です。
突然、性犯罪の加害者になってしまい、困惑している方は、早めに弁護士にご相談ください。