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性犯罪の被疑者が知っておくべき権利と警察での取り調べ対応

性犯罪は、目撃者がいて通報されたり、警察に現行犯逮捕されたりしない限り、いきなり逮捕されるケースは少ないです。
被害者からの被害申告だけでなく、被疑者とされた人を取り調べた上で犯人と確定してから逮捕という流れになります。
そのため、性犯罪の被疑者とされた場合は、警察での取り調べの対応が非常に重要になります。
性犯罪の被疑者が知っておくべき権利と警察での取り調べ対応について解説します。
 

性犯罪の被疑者になるケースとは?

性犯罪とは、一般的には、不同意わいせつ、不同意性交のことです。
性犯罪の性質上、性被害を受けた被害者からの申告がない限り、犯罪として発覚しませんし、被害者の証言だけでは、逮捕するのは難しく、加害者とされた人の取り調べを行ったうえで、被疑者と確定してから逮捕されるケースが多いです。
そのため、被疑者等として警察の取り調べを受ける段階で、取り調べを受ける人に保障されている権利を熟知したうえで、有効に対処することが大切です。
 

警察で取り調べを受けるケースとは?

警察で取り調べを受ける際には、警察から呼び出しを受けるのが一般的です。
警察から呼び出しを受けるパターンとしては、
 

  • ・被疑者としての呼び出し
  • ・重要参考人としての呼び出し
  • ・参考人としての呼び出し

 
の3パターンがあります。
 
まず、参考人としての呼び出しは、犯罪の被害者や目撃者を取り調べるためのものです。
重要参考人としての呼び出しは、被疑者ではないものの、犯人の可能性がある人を取り調べるものです。
被疑者としての呼び出しは、文字通り、捜査機関から犯罪を犯したものとしたと疑われている人を取り調べるものです。
 

警察の取り調べの目的

警察の取り調べは、被疑者、重要参考人、参考人のいずれに対するものであっても、供述調書を作成することが狙いです。
取り調べ担当の捜査官が、被疑者、重要参考人、参考人に対して質問を行い、これに対する答えを供述として記録する形で行われます。
供述調書は、後に裁判になった際の証拠となるため、被疑者、重要参考人、参考人のいずれの立場で供述するにしても細心の注意を払う必要があります。
 

警察の取り調べには応じなければならないのか?

警察の取り調べに応じるかどうかは、逮捕されているかどうかにより異なります。
逮捕されていない段階での取り調べは、任意なので、拒否することも可能です。
刑事訴訟法第百九十八条1項にも、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる」とされていますが、続けて、「但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる」と規定されています。
つまり、取り調べの途中で、用事があるから帰るということもできるわけです。
ただ、被疑者、重要参考人の立場で取り調べを受けている場合は、正当な理由なく取り調べを拒否した場合は、逮捕されてしまう可能性もあるため、拒否することはお勧めできません。
 

警察での取り調べの流れ

警察の取り調べを受けることになった場合の流れや取り調べの時間について見ていきましょう。
 

黙秘権の告知

警察官が被疑者を取り調べる場合は、「黙秘権」の告知を行います。
黙秘権とは、刑事訴訟法第百九十八条2項に規定されている権利で、「取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」と定められています。
あらかじめとあるとおり、黙秘権は、取り調べの最初の段階で告知する必要があります。
 

取り調べの進行

取り調べは、警察官が被疑者に質問し、これに対して、被疑者が答えたり、黙秘する形で進行します。
供述は調書にまとめられます。
 

供述調書の作成

供述調書が作成されると、被疑者に閲覧、又は読み聞かせが行われます。
供述調書の内容が間違っている場合は、この時点で、誤りを指摘して修正を求めることができます。
供述調書の内容に誤りがない場合は、署名押印(サイン)を求められます。
もっとも、署名押印(サイン)を拒絶することも認められており、警察官は拒否している被疑者に強制することはできません。
 

被疑者の取り調べの時間

被疑者の取り調べの時間については、1日8時間以内、基本的に午前5時から午後10時までの日中のみとされています。
ただ、取り調べ担当の警察官も何時間も粘れるわけではないため、通常2〜3時間程度の場合が多いです。
 

警察での取り調べ時に被疑者が知っておくべき権利

被疑者にも権利があることを知ったうえで、警察での取り調べに応じないと、不利な供述が調書にまとめられたり、冤罪に巻き込まれてしまうので注意しましょう。
 

黙秘権

既に述べた通り、黙秘権は刑事訴訟法により認められている権利ですし、憲法38条1項にも「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と規定されています。
取調官にどれほど執拗に迫られようとも、自分に不利な質問に対しては、黙秘権を行使することが大切です。
 
なお、黙秘権は、「被疑者」として取り調べを受ける場合のみ告知されます。
「重要参考人」や「参考人」の立場で取り調べを受ける際は、黙秘権の告知はありません。
ただ、「重要参考人」や「参考人」が黙秘権を行使できないわけではなく、憲法にあるとおり、黙秘権は「何人」にも認められている権利なので、これらの立場でも、自分に不利な供述を強いられそうになったら、黙秘することができます。
 

供述調書の増減変更の申立権

供述調書の署名押印(サイン)は慎重に行いましょう。
一旦、署名押印(サイン)してしまうと、間違った内容でも撤回することは難しくなります。
そのため、署名押印(サイン)の前に、内容をよく確認することが大切です。
 
供述調書は、供述した内容がそのまま記載されているわけではなく、文章自体は執筆する警察官が読みやすいようにまとめているため、文章によっては、自分の意図した供述とは異なるニュアンスでまとめられてしまうこともあります。
自分の意図とは違う内容であれば、修正を申し出ることができます。
刑事訴訟法第百九十八条4項にも、「調書は、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤がないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立をしたときは、その供述を調書に記載しなければならない。」と定められています。
これも被疑者の権利なのでしっかり押さえておきましょう。
 

取り調べは録音できる

取り調べを録音してはいけないという規定は、刑事訴訟法等には規定されていません。
そのため、逮捕前であれば、取り調べを受けている立場として、取り調べの内容について、スマホなどで録音することが可能です。
もっとも、取り調べ担当官によっては、録音していないかどうか確認し、捜査の秘密を理由に、録音している場合は止めるように求めてくることもあります。
 

まとめ|警察で取り調べを受ける際は弁護士に相談しよう

警察で性犯罪の被疑者等の立場で取り調べを受けることになった場合は、早めに弁護士に相談することが大切です。
取り調べの対象者に弁護士がついている場合、警察としても、不当な取り調べを行いにくくなり、冤罪を防止することにもつながります。
また、警察の取り調べや調書の対応方法についても、上記までに紹介したこと以外にも具体的な助言を受けられます。
取り調べ段階で逮捕されていなければ、弁護士の弁護活動次第では、逮捕自体を回避することも可能になります。
仮に逮捕されてしまったとしても、早い段階から弁護士が弁護活動を展開していれば、早期釈放や不起訴決定を受けやすくなります。

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