痴漢冤罪を避けるために:弁護士が教える対策と対応法
痴漢冤罪は、満員電車や満員バスで通勤・通学せざるを得ない人にとっては誰しも巻き込まれる可能性があります。
一旦、痴漢冤罪に巻き込まれてしまった場合は、慌てず、冷静に対応することが、逮捕や起訴を避けるためにも重要です。
痴漢冤罪を避けるための対策と巻き込まれた場合の対応について解説します。
目次
痴漢冤罪を避けるための対策
痴漢冤罪を避けるためには、痴漢冤罪に巻き込まれやすい状況をできる限り避けることが大切です。
満員電車や満員バスを避ける
痴漢冤罪は非常に厄介なので、巻き込まれないことが最善の対策になります。
そのため、痴漢冤罪の場になりやすい満員電車や満員バスを避けるのが最善です。
徒歩や自転車なら運動にもなりますし、一石二鳥です。
職場が遠い場合は自家用車やバイクの利用も選択肢に入るでしょう。
通勤ラッシュを避ける
どうしても公共交通機関を利用せざるを得ない場合は、通勤ラッシュを避けるのも有効です。
通勤ラッシュが始まる前に早めに出勤したり、逆に遅めに出勤すると言った方法が考えられます。
女性に近づかない
痴漢冤罪に巻き込まれるのは多くの場合、男性です。
男性が女性に対して痴漢を行った疑いで逮捕されるケースがほとんどなので、できる限り女性に近づかないことが有効な対策になります。
やむを得ず女性の近くに立たざるを得ない場合は、女性と背中合わせになるとか、両手でつり革につかまる等の対策を行うべきです。
友人や同僚と一緒に電車やバスに乗る
公共交通機関を利用する場合はできる限り、一人ではなく、友人や同僚と一緒に乗るのも有効です。
どちらか一方が痴漢を疑われた場合でも、痴漢ではないと証言できますし、友人や同僚と一緒にいる状況で痴漢をすることは考えにくいために無罪になったというケースもあるからです。
痴漢を疑われた場合の対策
痴漢を疑われた場合はパニックになってしまうかもしれませんが、心を落ち着けて行動しましょう。
被害者と口論しない
被害者は痴漢をしたと思われる人に対して、痴漢をしたと決めつけるようにして強引に話を進めようとするものです。
そこで重要になるのが、加害者と名指しされた場合は、大慌てで否定したり、被害者と言い争うことを避けることです。
まず第一段階は、被害者との口論を避けて無視すべきです。
それでも被害者が掴みかかる場合は、「私は無関係である」「私はやっていない」と冷静かつ短い言葉で否定することです。
被害者が口調を和らげて、勘違いと悟れば、その場で収まりますし、立ち去ることも可能でしょう。
会話は録音する
被害者が勘違いを悟らず、あるいは、示談金狙いで痴漢をでっち上げようとしている場合は、すぐに会話内容を録音しましょう。
被害者が何を話していたかは、被害者の証言の矛盾点をつくためにも非常に重要だからです。
その際、自分が話す内容にも注意し、自分が痴漢をする状況にないことを、短くわかり易い言葉でまとめることが大切です。
会話の録音は、駅員に引き渡されて警察と話をせざるを得なくなった時も同様に続けるべきです。
その場ですぐに弁護士に連絡する
被害者と口論になる場合は、その場ですぐに弁護士に連絡することが大切です。
そのうえで、現在置かれている状況について説明し、弁護士に対応策を仰ぐようにしましょう。
なお、弁護士なら誰でも良いわけではありません。
弁護士でも得意分野はそれぞれ異なりますから、痴漢冤罪に詳しい弁護士に連絡することが大切です。
電車やバスに乗る際は、痴漢冤罪に巻き込まれることも想定して弁護士事務所のホームページ等をあらかじめチェックしておきましょう。
冤罪であることを証言できる目撃者を探す
痴漢と疑われた場合は、周辺の目撃者を探すことも重要です。
多くの人は、巻き込まれたくないと考えて無視するのが一般的ですが、中には、痴漢冤罪だと証言してくれる人もいるかもしれません。
あるいは、周辺の人物から真犯人が見つかることもあります。
痴漢の被害に遭った時は、声を上げて助けを求めることが大切と言われていますが、痴漢冤罪でも、声を上げて目撃証言を求めることが大切なのです。
警察が来た時は繊維鑑定を依頼する
駅員に引き渡されてしまい、警察対応となってしまった場合は、繊維鑑定を依頼すべきです。
繊維鑑定とは、加害者の手の平などに付着している繊維を確認し、被害者の衣服の繊維と一致するか確認する鑑定方法です。
被害者に触れていれば、繊維が検出される可能性がありますが、触れていない場合は、繊維が検出されないため、痴漢冤罪の可能性が高まります。
痴漢を疑われた場合にやってはいけないこと
痴漢を疑われた場合、どんなに慌てても、絶対にやってはいけないことをまとめておきます。
慌てて逃走する
痴漢を疑われた時にその場で慌てて逃げることは最もやってはいけないことです。
周辺の人が被害者の協力者になって捕まえにかかることがありますし、転倒などの二次被害の危険もあります。
また、逃亡しようとしたことは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとして逮捕される理由にもなってしまいます。
相手に謝罪する
とりあえず、謝っておけばその場が丸く収まるだろうと考えて、謝罪してしまう方もいるかも知れません。
それでは、自分が痴漢をしたことを認めたことになってしまうため、絶対に避けるべきことです。
既に述べた通り、被害者がどれほど激昂していようとも、相手にせず、「私は無関係である」「私はやっていない」と冷静かつ短い言葉で否定することが重要です。
取り調べで身元を隠そうとする
痴漢冤罪に巻き込まれてしまい、警察と話をすることになった場合は、痴漢冤罪である旨の主張以外は、聞かれたことは素直に答えるべきです。
特に、個人情報や勤務先等については、隠したところで意味がないので、正直に話してしまいましょう。
むしろ、身元を秘匿しようとすると逃亡の恐れがあると判断されてしまいます。
取り調べで供述調書に署名捺印する
警察は取り調べの後で、加害者側の主張を供述調書としてまとめます。
供述調書は後に刑事裁判になってしまった場合に、被疑者の供述として重要な証拠の一つになります。
供述調書は取り調べを受けた人の言葉をそのまま書き出しているわけではありません。
警察は痴漢をした人という先入観を持って話を聞いていることが大半なので、供述調書もその方向性でまとめられていることがあります。
そのため、自分の主張と少しでも異なる場合は、署名捺印しないことが大切です。
一旦、署名捺印してしまうと、供述調書の内容を認めたという意味になってしまい、後の裁判で不利になります。
まとめ
痴漢冤罪は、誰しも巻き込まれる可能性があります。
しかも、一旦、痴漢冤罪に巻き込まれたら、逮捕されて、一定期間、身体拘束を受ける可能性があり、社会生活にも大きな影響が出てしまいます。
起訴された場合は、痴漢冤罪を覆すことは容易ではなく、有罪となってしまった場合は、刑罰自体は軽微でも前科がついてしまいます。
こうした事態を避けるためには、痴漢冤罪に巻き込まれたら、可及的速やかに弁護士に相談し対策を講じることが大切です。