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横領

1 横領の罪とは

横領の罪(刑法第38章)とは、自己の占有する他人の財(金銭や物品)を横領する場合に成立する犯罪です。
ポイントは3つあります。

⑴ 自己の占有する

他人の物の占有者でなければ、原則として横領することはできません。自己が占有していない他人の物を奪う行為は窃盗罪となります。
ただし、占有者以外の者でも、他人物の占有者と相通じて横領することができ、その場合は共犯として罰せられます。
また、ここにいう「占有」は現に所持するという事実上の支配だけはなく、自由に処分できるという法律上の支配も含みます。これが、次の「他人の物」の範囲に影響してきます。

⑵ 他人の物

「占有」には法律上の支配も含まれるので、客体となる「物」には現金や物品はもちろん、管理を任されている預貯金や不動産登記等も含まれます。
よく問題となるのが現金です。現金は代替性があるため、一時流用などで「他人」物か「自己」物かが争点となります。
使途を定めた現金の保管者が現金を一時流用した場合には、委託の趣旨に反して処分した以上、原則として横領罪が成立します。ただし、現金のもつ不特性、匿名性、さらに入手の容易性から、保管者に他の現金によって代替(填補)させる意思と資力がある場合には、例外的に横領罪は成立しないと考えられています。

⑶ 横領する

保管の任務に背いて、所有者でなければできない処分をすることです。売却、贈与、質入れ、抵当権の設定といった法的処分だけではなく、消費や着服、隠匿といった事実上の処分行為も含みます。
自己が占有する他人の物をあたかも「所有者のごとく処分する」のが横領罪であるのに対して、他人を「騙して」その財物を取得する詐欺罪、および、他人との「委託信任関係を毀損して」財産上の損害を与える背任罪とは、行為態様の点で異なります。

2 横領罪の種類

横領の罪には、単純横領罪、業務上横領罪、占有離脱物横領罪の3種類があります。

⑴ 単純横領罪(刑法252条)

自己が占有する他人の物を、自分の物としてしまう場合に成立します。預かっていた物を勝手に売る、他人から借りている物を返さないなどの行為が該当します。

⑵ 業務上横領罪(刑法253条)

業務として他人の物を預かっている者が、その物を自らの物としてしまう場合に成立します。
ここにいう「業務」とは、一般用語の業務とは異なり、社会生活上の「地位」に基づいて継続的に繰り返して行われるものを指します。たとえば、会社の経理担当社員がその典型ですが、正社員に限らず派遣社員、さらにはサークルにおける出納係等、他人の「資産を継続的に保管・管理する地位」にあれば、刑法でいう「業務」者にあたります。

⑶ 遺失物等横領罪(刑法254条)

遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を、自分の物としてしまう場合に成立します。
路上に落ちていた財布を拾って中のお金を抜きとる、レジで店員がおつりを多く渡したことに気付いたが返さずにそのまま受け取る場合にも成立します。

3 法定刑

3種類の横領罪の法定刑、および公訴時効(犯罪後、一定期間の経過により検察官の公訴権が消滅すること)を一覧にします。

法定刑 公訴時効
単純横領罪 5年以下の懲役 5年
業務上横領罪 10年以下の懲役 7年
遺失物等横領罪 1年以下の懲役
又は、10万円以下の罰金もしくは科料
3年

 

4 横領罪の処理

検察統計2020年報(令和2年の統計)によりますと、横領事件の被疑者の検挙人員総数8,308人でした。このうち、実際に捜査機関に逮捕されたのは1,234人、認知されたものの逮捕されなかったのは7,043人、警察による逮捕後に身柄釈放されたのは31人でした。逮捕された1,234人のうち1,153人については勾留が認められています。
起訴段階では、横領罪として起訴されたのは1,378人、不起訴となったのは5,231人で、起訴率は20.9%(刑法犯全体では38.2%)となっています。
裁判については、犯罪白書令和2年版によりますと、令和元年における横領罪の通常第一審の479件のうち、446人が有期懲役(執行猶予は266人で約60%)、32人が罰金等の有罪判決を受けており、有罪率は99%以上です。
以上の統計から見ると、横領の罪を犯した場合には、まずは逮捕回避、次いで不起訴そして執行猶予処分の獲得を目指すことが主な活動になります。

5 示談の重要性

刑法犯全体の身柄率(逮捕され、その後も拘束される割合)は35%程度であるのに対して、横領罪では約15%と低い水準です。比較的軽微な遺失物等横領罪が大半を占めるのが理由と考えられますが、被害回復を行いやすいことも一因と考えられます。
そこで、まず、被害者との示談を最優先させます。

⑴ 心からの謝罪

横領罪は、被害者との信頼関係を破って行う犯罪です。したがって、これまでの経緯を素直に謝罪し、真摯に反省する態度を示さなくてはなりません。被害者としては、加害者が心から反省し、かつ、納得できる態様で被害回復されるならば、裁判に発展した場合の風評被害のリスク等を考慮して被害届け等を取り下げる可能性があります。横領罪は親告罪ではありませんが、被害申告がない場合には、基本的に警察は捜査しないのです。
謝意を伝えるには書面にするのが有効です。書き方やその内容については弁護士がアドバイスします。

⑵ 弁護士が交渉

示談交渉については弁護士が対応にあたります。被害者の処罰感情にも配慮しつつ、粘り強く交渉を進めます。
会社財産を横領した場合には解雇の対象となるのが通常ですが、会社としては被害の回復が重要と思われます。解雇して無職となった元従業員から弁済を求めるよりも、二度と横領は行わないことを誓約させた上で働きながら分割弁済させていくという方法を選択する方が有利な場合もあります。このような交渉についても弁護士にお任せいただけます。
示談が成立すればその資料を検察官や裁判官にも提出し、逮捕回避だけではなく、その後の不起訴や執行猶予獲得に向けて備えます。

⑶ 民事責任も処理

横領を行った場合、懲役や罰金といった刑事責任のみならず、不法行為に基づく民事責任も負います。横領に対する損害賠償請求権は、「被害者が横領行為を知ってから3年」または「横領行為時から20年」で時効消滅します。
ご自身で早急に示談を行ったが、書面様式に不備があったり、意思の食い違いがあったりしため後日再請求されてしまうという事態も起こり得ます。このようなリスクを避けるためにも弁護士が示談全般にわたり責任をもって対処します。

6 まとめ

横領罪は、身体拘束の割合は低く、起訴される可能性も比較的低い犯罪です。その背景には示談によって被害回復がなされるという事情があります。よりスムーズに示談を成立させるためにも、お早めに弁護士までご相談ください。

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