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執行猶予

1 執行猶予とは

執行猶予とは、犯情に照らして必ずしも現実的な刑の執行が必要でない場合に、一定期間その執行を猶予して、無事に期間を経過したときは刑罰権を消滅させるという刑法上の制度です。
実刑と比べると、実際に刑務所に入らない、あるいは罰金を支払わないというように、身体的経済的な負担がない状態で日常生活を送ることができます。有罪率99%以上という我が国の刑事裁判では、判決に執行猶予が付くかどうかが被告人にとって極めて重要な問題であるといえます。
本記事では執行猶予の種類と各要件、日常生活への影響、そして執行猶予獲得に向けた取り組みについて解説します。
 

2 執行猶予の種類

執行猶予には「全部執行猶予」と「一部執行猶予」の2種類があります。
 

⑴ 全部執行猶予(刑法25条)

全部執行猶予は、執行猶予期間を満了すれば刑の執行の全部が免除される制度です。執行猶予期間は1年以上5年以下の範囲で設定されます。
例えば「懲役3年、執行猶予5年」の場合は、執行猶予期間である5年を無事経過すれば、3年全部について懲役刑の執行が免除されます。
 

⑵ 一部執行猶予(刑法27条の2)

一部執行猶予は、2016年6月より施行されている改正刑法によって新設された制度です。
実刑判決が下された部分についてまず刑の執行をし、その後、与えられた猶予期間中について刑の執行が猶予されます。猶予期間の設定は、全部執行猶予と同じく1年以上5年以下の範囲内です。
たとえば、「被告人を懲役3年に処する。その刑の一部である懲役6月の執行を2年間猶予する。」という判決では、まず2年半の懲役刑の執行を受けた後で、残りの6か月分の懲役刑については2年間の執行猶予が設けられることになります。
改正前は(全部)執行猶予か実刑かの選択しかなく、執行猶予が選択されるといきなり社会内に身を置くこととなり、再犯防止や改善更生が不十分であるという問題が指摘されていました。
そこで、判決後一定期間は刑務所などの施設内で処遇を行い、その後は社会生活の中で更生を図るという一部執行猶予制度が導入されたのです。
 

3 執行猶予の条件

すべての有罪判決に執行猶予が付けられるわけではなく、一定の条件があります。
 

⑴ 全部執行猶予が認められる条件

①判決内容

言い渡された判決が、3年以下の懲役もしくは禁錮、または罰金50万円以下であることが必要です。したがって、法定刑の短期が3年を超える強盗罪や5年以上の殺人罪では、基本的には執行猶予は付きません。
 

②被告人の過去の事情

さらに、被告人自身の過去の事情として次の条件が求められます。

  • ・前に禁錮以上の刑(懲役刑、死刑)を受けたことがない
  • ・前に禁錮以上の刑を受けたことがあっても、それが5年より前のことである

 

⑵ 一部執行猶予が認められる条件

①判決内容

言い渡された判決が3年以下の懲役もしくは禁錮であることが必要です。施設内処遇を念頭に置いた制度であるため、罰金刑は対象となりません。
 

②被告人の過去の事情

被告人自身の過去の事情として以下の条件が必要です。

  • ・前に禁錮以上の刑に処せられたことがない
  • ・前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その刑の全部の執行を猶予された
  • ・前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、それが5年より前のことである

 

③再犯防止の必要性および相当性

犯情の軽重や犯人の境遇、その他の情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ相当であると認められることが必要です。
 

4 日常生活への影響

⑴ 前科が付く

執行猶予は一定期間の経過後に刑罰権の発動を消滅させるだけで、確定した有罪判決があるという事実を消滅させるものではありません。つまり「前科」が付くことになり、猶予期間経過後もこの事実は消滅しません。
とはいえ、前科は一般に公開される情報ではないので、周囲に前科があることを知られることは基本的にありません。よって、通常の日常生活を送ることに特に問題はなく、引っ越し、就職、結婚、離婚などは自由にすることができます。
ただし、履歴書とビザ申請には注意が必要です。
「賞罰欄」のある履歴書には前科を記載しなければならず、もし事実を書かなかったり虚偽を記載したりすると、経歴詐称になり懲戒解雇事由となるおそれがあります。
また、旅行は国内であれば問題ありませんが、海外旅行のため外国のビザ申請時には犯罪歴の申告が求められており、前科を申告しない場合は虚偽申告として不利益に扱われる可能性があります。
 

⑵ 職業や資格の制限

執行猶予付き判決により、医師や弁護士、教員などの資格が取消されたり、執行猶予中は一部の資格を取得することができなくなったりすることがあります(欠落事由)。
 

5 執行猶予獲得に向けた取り組み

日常生活を送りながら改善更生に努めることができる執行猶予は、本人のみならず家族にとっても望ましいものです。
しかし、執行猶予が認められるには条件があり、しかも条件を満たす場合であっても、実際に与えるかどうかは裁判官が判断するのです。
そこで、裁判官に効果的に働きかけるためには弁護士の役割が重要になります。
 

⑴ 示談

被害者との示談を成立させて、被害が回復されたことや被害者は処罰を望んでいないことを裁判官に印象付けます。
 

⑵ 悔悛の情を示す

弁護士によるアドバイスのもと被告人が書いた反省文を証拠として提出し、悔悛の情を示すことも必要です。
 

⑶ 再犯防止

薬物事犯などの再犯率が高い犯罪については、必要な療養やカウンセリングを継続して克服する旨の誓約書を提出して、再犯のおそれを払拭します。
 

6 まとめ

執行猶予を獲得するためには「社会内で自力更生できる」ことを裁判官に粘り強く説得しなければなりません。また、導入された一部執行猶予を主張するにあたっては、それが本人にとって真に有利なものであるかを見極める必要もあります。
刑事事件を起こし起訴されるおそれのある方は、執行猶予制度に詳しい津田沼法律事務所にご相談ください。

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