家族がセクハラで訴えられた
悪質なセクハラ行為は犯罪として処罰される可能性もある行為です。
本人が「そんなつもりじゃなかった」と思っていても逮捕され、刑事的な責任を問われる可能性があります。
ここでは、セクハラによって成立する犯罪、逮捕された場合に起きることなどについて解説します。
目次
そもそもセクハラとは
セクハラとは、性的な言動によって相手に不快感を与えることをいいます。
その言動をした本人の意図に関係なく、相手方が不快に感じればそれはセクハラです。
セクハラには、相手の意に反する形での身体的接触のほか、性的な嗜好や性別に関する差別的な言動、性的なからかい、身体的特徴に関する言動、性生活に関する質問をする行為などが含まれます。
セクハラは法律の観点から見ても問題のある行為です。
場合によっては損害賠償を請求される可能性があります。
さらに相手の意に反してキスやハグをしたり、性的な内容の噂を拡散したり、といった悪質なセクハラ行為をした場合は刑事責任を問われる場合もあります。
一般的にセクハラは立場が強い側が弱い側にすることも多く、された側が「嫌」と言えないことも多いものです。
やった本人は「同意があった」「冗談のつもりだった」と思っていても、相手の受け止め方によっては深刻なトラブルに発展する可能性があります。
セクハラによって成立する可能性のある犯罪
セクハラ行為は次のような犯罪に該当する可能性があります。
(準)強制わいせつ・強制わいせつ未遂罪
暴行・脅迫によって相手の抵抗不能にし、わいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。
わいせつな行為としては、抱きついて胸を触る、無理やりキスをする、陰部を触るなどの行為があげられます。
お酒や薬物の影響で抵抗が難しい状態になった被害者にわいせつな行為をすると、準強制わいせつ罪になります。
(準)強制性交等罪・同未遂罪
暴行や脅迫によって無理やり性交や性交類似行為をした場合に成立します。
相手をアルコールに酔わせたり、睡眠薬を飲ませて抵抗不能な状態にしたりして上記の行為をした場合は準強制性交等罪が成立します。
強要罪・同未遂罪
無理やり相手を食事やデートに誘った場合や性的な関係を要求した場合は、強要罪が成立します。
名誉毀損罪・侮辱罪
相手の性生活に関する噂を言いふらした場合などは名誉毀損罪が成立する可能性があります。
また、侮辱的な言動をした場合は侮辱罪が成立する可能性があります。
迷惑防止条例違反
胸やおしりに触るなどの痴漢行為を行った場合は、各都道府県で定める迷惑行為防止条例で処罰される可能性があります。
セクハラで逮捕される可能性はある?
セクハラはその内容によっては、逮捕されてしまう可能性がある行為です。
実際、人事担当者が就活生をホテルや自宅に連れ込んでわいせつ行為を行ったケース、上司が部下に抱きついてわいせつ行為をしたケースのように、悪質なセクハラ事件はニュース化し、容疑者も逮捕されています。
なお、今後、刑法が改正され、性犯罪が全体的に厳罰化される見込みです。
改正案では、経済的・社会的関係上の地位を利用して、わいせつな行為や性交等を行った場合のように、暴行や脅迫を伴わずに行われたわいせつ行為や性交、性交類似行為――従来の強制わいせつ罪や強制性交等罪では処罰が難しいケースも犯罪として規定されました。
今後、セクハラが刑事事件化するケースも増えていくのではないでしょうか。
もしセクハラで逮捕されてしまったら
セクハラで逮捕された場合、さまざまな不利益を被る可能性があります。
長期間身体を拘束される可能性がある
逮捕された場合、逮捕・勾留によって最大20日間身体拘束が延長される可能性もあります。
何日も拘束されると職場にも行けなくなるので、職場にも逮捕されたことがバレてしまうおそれが出てきます。
前科がつく可能性がある
起訴され、裁判で有罪となった場合、前科がつきます。
執行猶予がついた場合も刑の執行が猶予されただけで、前科にカウントされてしまいます。
逮捕されなかった場合も安心はできない
逮捕されずに済んだ場合も、取り調べ自体は続くからです。
在宅事件となるため、ほぼ普段どおりの生活が送れるものの、取り調べのために定期的に出頭する必要があります。
また、最終的に起訴されて前科がつくリスクは残ってしまいます。
弁護士に依頼するメリット
セクハラで逮捕された場合、早期に弁護士に依頼し、適切な弁護活動を受けることが重要です。
その時々の状況に応じた弁護活動を行うことにより、被る不利益の程度を減らせる可能性があります。
状況に応じた法的なアドバイスや弁護活動を受けられる
早期に弁護士に依頼することで、取り調べへの対応などに対する法的なアドバイスが受けられます。
また、逮捕・勾留されて身体拘束が長引いている場合には、早期釈放を求める活動も行ってもらえます。
示談交渉を任せられる
示談交渉は重要な弁護活動の1つです。
被害者に対して被害弁償がされているかどうかは、最終的な処分に影響します。
日本の刑事司法では被害者の処罰感情が重視されるからです。
示談がまとまった場合、被害者に処罰を望まない旨を示談書に書いてもらうことができます。
そのため示談が成立したことは、加害者側にとっては有利な事情に働きます。
ただ、本人やその家族が被害者と直接交渉しようとすると、かえってトラブルになるリスクがあります。
特にセクハラのような性犯罪の場合は、被害者側の怒りや不安も大きいので直接交渉は難しいかもしれません。
第三者である弁護士に交渉を依頼することで、冷静に話し合いを進められる可能性が高くなります。
セクハラ加害者と疑われた場合は弁護士に相談を
セクハラ加害者として逮捕された場合、適切な弁護活動を受けることが重要です。
トラブルに巻き込まれたと思ったら、早めに弁護士にご相談いただければと思います。